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2026年3月11日、新宿のコクーンタワーで Elgato の新ラインアップ発表会 Wave Next が開催されました。
このイベントでは、Waveシリーズの今後を担う新ハードウェア群とともに、正式版となった Wave Link 3.0 が大きく紹介されました。
今回の発表は、単なる新製品の追加ではありません。
そこにあったのは、マイクやオーディオインターフェース単体を売るのではなく、ソフトウェアを中心に、クリエイターの音声ワークフロー全体を再設計するという明確なビジョンです。
その中心にあるのが、正式版として登場した Wave Link 3.0 です。
従来の Wave Link から大きく作り直され、音声ミキサーとしての使いやすさだけでなく、セットアップ、音作り、モニタリング、配信、通話、録音までを一つの基盤にまとめる方向へ進化しました。
本記事では、Wave Link 3.0 製品版の特徴と、Wave Next 発表会で明かされた新ラインアップの内容をあわせて、Elgatoの新しいオーディオ戦略を整理します。
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Elgatoの Wave シリーズは 2020 年から展開されてきました。
これまでは Wave マイクや Wave XLR といったハードウェアと、Wave Link ソフトウェアを組み合わせて使う構成が中心でした。
今回の Wave Next では、その考え方がさらに拡張されています。
キーワードは、ハードウェア中心のワークフローから、ソフトウェア中心のワークフローへの移行です。
従来のオーディオ機材は、メーカーが決めた用途や接続方法にユーザーが合わせる形になりがちでした。
しかし Wave Next では、ユーザーが「何をしたいか」から逆算して、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせていく思想が強く打ち出されていました。
たとえば、
といったニーズを、Wave Link を中心にまとめて解決する設計です。
| 製品名 | 製品カテゴリ | 主な特徴 | 価格(税込) | 発売・公開時期 |
|---|---|---|---|---|
| Wave:3 MK.2 | USBマイク | LEDリング搭載。Wave Link 3.0 と連携しやすい次世代USBマイク。入力レベルの視認性が向上。 | 28,980円 | 3/27(金)発売 |
| Wave XLR MK.2 | XLRオーディオインターフェース | LEDリング搭載。Wave FX プロセッサー対応世代のXLR入力機。Wave Link 3.0 と組み合わせた音作り向け。 | 28,980円 | 3/13(金)発売 |
| Wave XLR Dock MK.2 | XLR拡張ドック | Wave系環境を拡張するためのドック製品。Wave Nextラインアップの一部として登場。 | 22,980円 | 3/13(金)発売 |
| Wave XLR Pro | オーディオハブ / 上位XLR機 | シンプルな音声入出力ハブ。ポッドキャスト、デュアルPC、コンソール接続などを想定。設定はWave Link、物理操作はStream Deck寄り。 | 59,980円予定 | 2026年4月〜6月出荷開始予定 |
| Stream Deck + XL | コントローラー | 36キー、より大きなタッチストリップ、6つのダイアルを搭載。Wave Link 3.0 の音声操作を一台に集約。 | 59,980円 | 3/13(金)発売 |
| 製品名 | 種別 | 主な特徴 | 価格 | 公開時期 |
|---|---|---|---|---|
| Wave Link 3.0 | オーディオミキサーソフト | Elgato以外のマイクにも無料で使える、完全刷新されたWave Link。セットアップガイド、録音・再生確認、Auto Gain Wizard、Wave FX 搭載機器との連携が強化。 | 無料 | 3/4(水)公開済 |
| Wave Link 3.0 Stream Deck Plugin | プラグイン | Stream Deck から Wave Link 3.0 をより深く操作するための専用プラグイン。 | 無料 | 3/4(水)公開済 |
Wave Link 3.0 は、従来の Wave Link をそのまま更新したというより、設計思想ごと刷新された新世代版と見る方が実態に近いです。
発表会でも、従来版から「完全に作り直された」ことが強調されていました。
実際に製品版では、単なる仮想ミキサーを超えて、クリエイター向けオーディオ環境のハブとしての性格がかなり強くなっています。
主な方向性は次の通りです。
これまで「音は作り込みたいが、設定やルーティングが難しい」と感じていた人にとって、Wave Link 3.0 はそのハードルを大きく下げるアップデートになっています。
さらに、Elgato製のマイク以外にも完全無料で公開されたことが、世界的に大きな話題になっています。
ここで整理しておきたいのは、Clipguard 2.0 やDSPオンボードエフェクト、VSTインサートは、Wave Link 3.0 単体の注目ポイントというより、Wave Next で発表された新しいオーディオ関連製品群に共通する基盤「Wave FX」プロセッサーの特長だということです。
そのうえで Wave Link 3.0 自体の注目点は、そうした新ハードウェア群を活かしながら、ユーザーが迷いやすいセットアップや音作りを大幅にわかりやすくしたことにあります。
特に印象的だったのは、次のような部分です。
マイク設定で多くの人が悩むのが、ゲイン設定です。
小さすぎると聞こえにくく、大きすぎるとノイズや音割れの原因になります。
Wave Link 3.0 では、このわかりづらいゲイン設定を支援する Auto Gain Wizard が用意されました。
起動方法もわかりやすく、ハードウェア側からでもソフトウェア側からでも開始できます。
実際の流れとしては、一定時間マイクに向かって話すことでレベルを確認し、適切な入力ゲインへ自動調整する仕組みです。
さらに Gain Lock によって、他アプリ側の操作でレベルが崩れにくい設計も見られました。
これは派手な新機能ではありませんが、最初のセットアップ体験を大きく改善する実用的な機能です。
Wave Link 3.0 では、Wave デバイスと連携したセットアップツアーや接続ガイドが強化されていました。
特に、XLRケーブルが抜けていると教えてくれるなど、初心者がつまずきやすいポイントをソフト側で補ってくれるのが印象的です。
オーディオ機材は高機能な反面、接続ミスや入力設定ミスで音が出ないことが珍しくありません。
その初歩的な失敗を減らす方向へ寄せているのは、かなり重要な改善です。
短い音声を録音し、すぐに再生しながら音を確認できる機能も、Wave Link 3.0 の価値を高めています。
自分の声をその場で録って聴き返しながら、
を確かめられるため、ただ話しながら調整するよりも音作りの精度を上げやすくなります。
Wave Link 3.0 はソフトウェア中心の設計ですが、物理操作との連携もかなり重視されています。
特に Stream Deck + XL との組み合わせでは、ゲイン調整、チャンネルレベル調整、ミュート切り替え、出力先切り替えなどを一台で扱える方向へ進化していました。
つまり Wave Link 3.0 は、単なるミキサーアプリではなく、新しい Wave エコシステム全体の司令塔として位置づけられています。
今回の発表で最も重要だったキーワードの一つが、Wave FX プロセッサーです。
Elgato は、今後の新しいオーディオ関連製品に共通する基盤として Wave FX を打ち出しました。
その中核要素は大きく次の3つです。
発表では、これらを新しい Wave 系ハードウェア群の共通基盤として説明しており、今後の Wave 製品は単なる入出力機器ではなく、音作りを前提とした統合オーディオデバイスとして設計されていくことがわかります。
Clipguard は Elgato の強みのひとつですが、今回の Clipguard 2.0 ではさらに強化されていました。
説明として興味深かったのは、高・中・低の3段階のスタック型アナログデジタルコンバーターを使い、32ビットフロート相当の余裕を持った信号を作るという考え方です。
要するに、単純に「入力が大きいから歪む」という問題に対して、複数のゲイン領域を組み合わせて破綻しにくくする設計思想が見えます。
発表会ではかなり自信のある見せ方がされており、
といった、かなり攻めたデモ訴求が行われていました。
もちろん実際の利用環境ではマイクや声量、距離、入力条件に左右されますが、少なくとも Elgato が 初心者でも破綻しにくい入力設計 を本気で押し出していることはよくわかります。
Wave FX の中核機能として、オンボードDSPによる音声処理も強く訴求されていました。
搭載エフェクトとして示されていたのは次の5つです。
低周波の不要な音を取り除くための基本機能です。
机の振動、空調、環境ノイズなど、配信で邪魔になりやすい低域成分の整理に向いています。
単純なノイズゲートよりも柔軟に動く、上位版のような位置づけです。
喋っていない時の環境ノイズを抑えつつ、話し始めや語尾の切れ方が不自然になりにくいのが利点です。
発表では、ソフト処理だと若干の遅延が発生する一方、デバイス側で処理するエキスパンダーは遅延なしでモニタリングしやすいことも強調されていました。
また、声のトーンを壊しにくい点も特徴として挙げられていました。
今回かなり印象的だった新機能です。
説明としては、テープマシンのサウンドに着想を得たElgato独自のエフェクトで、無機質なデジタル録音に温かみや密度感を足すものとして紹介されていました。
いわゆる派手なボイスチェンジャーではなく、少しだけ声の印象を良くする、上品な質感調整に近い方向です。
「胸に留まる声質になる」
「エフェクトがかかっていることがあまりわからない」
という紹介は、まさにこの機能の立ち位置を表していました。
声量差を整えて、聞きやすさを上げる定番機能です。
配信やポッドキャストでは特に恩恵が大きい部分です。
声質の微調整や不要帯域の整理に便利です。
最低限の EQ を内蔵で扱えるのは、外部プラグインに頼りすぎずに済むという意味でも実用的です。
今回の発表で、実務上かなり大きい改善だと感じたのが VSTインサート です。
従来は、マイク音声に VST をかけて使う場合、
といった、慣れていないとかなり面倒な設定が必要でした。
Wave Next ではこの点が見直され、大元のマイクを選択するだけで、VST が乗った状態の音声をそのまま扱いやすくなる方向へ整理されています。
つまり、
という改善です。
発表会でも、「Voice Focus といった処理をつけたいのに設定できない人が多かった」という文脈が出ており、高機能なのに難しすぎる問題を潰しにきているのが見えました。
また、軽量な VST であれば、違和感の少ないレベルの遅延で扱える点も強調されていました。
おすすめ例として、VST リバーブの活用にも言及がありました。
Wave Next ではソフトだけでなく、ハードウェアも同時に刷新されました。
Wave FXプロセッサー搭載。
入力音を視覚的に把握しやすい LEDリング を搭載。
見た目のわかりやすさだけでなく、録音・配信時の状態把握がしやすくなる改善です。
こちらもWave FXプロセッサー、LEDリングを搭載。
見た目の刷新だけでなく、ハードウェア側で状態確認しやすくなったのがポイントです。
どちらも、Wave Link 3.0 との連携を前提にした、より扱いやすい次世代モデルという印象です。
Wave Next ラインアップの中で異彩を放っていたのが Wave XLR Pro です。
見た目や名前から大型ミキサーを想像しがちですが、発表内容を見るとむしろ逆で、非常にシンプルな音声入出力ハブとして設計されています。
特徴としては、
という方向性です。
接続例としては、
などが示されており、単なるマイク入力だけでなく、クリエイターの複数環境をつなぐ音声ハブとしての役割が想定されていました。
背面構成もかなり整理されており、
といった接続が確認できました。
今回かなり象徴的だったのが Stream Deck + XL です。
見た瞬間に「すごく大きい Stream Deck」と感じる見た目ですが、役割はそれ以上です。
という構成により、Wave Link 3.0 の主要な音声操作を一台でまとめて扱う方向に進んでいます。
発表内容からも、
など、かなり深い統合が見えました。
つまり Stream Deck + XL は、単なるショートカットデバイスではなく、Wave Link 3.0 時代の物理コントローラーとして位置づけられています。
発表会では、Elgato と Voicemod のパートナーシップ も明かされました。
注目すべきは、これが単なる外部連携ではなく、Elgato Marketplace 上に VST エフェクトとして登録され、Wave Link 内で完結する方向で見せられていたことです。
さらに、専用サウンドボード公開の話もあり、Wave Link の役割は「マイク音声ミキサー」から、リアクション音・演出音・変声・配信演出を含む統合音声プラットフォームへ近づいています。
これにより、従来は別アプリを併用していた人でも、Wave Link を中心に完結させやすくなる可能性があります。
今回の発表内容を踏まえると、特に相性が良さそうなのは次のような人です。
ゲーム音、ボイスチャット、BGM、通知音、マイク音を用途別に分けたい人。
OBS や Stream Deck と一緒に使うほど価値が上がります。
声を自然に整えつつ、難しい音響知識なしで音質を上げたい人。
Voice Tune や Compressor、EQ、Auto Gain Wizard の恩恵が大きいです。
ノイズ対策、マイク調整、出力先の分離をまとめて扱いたい人。
特に「設定が面倒で VST を諦めていた人」にはかなり魅力があります。
従来の「機材を買い足して解決」ではなく、ソフトウェアで柔軟に構成を作りたい人に向いています。
2026年3月11日に新宿コクーンタワーで開催された Wave Next は、Elgato が今後どこへ向かうのかをはっきり示す発表会でした。
今回のポイントを整理すると、次のようになります。
特に印象的なのは、単に高機能化しただけでなく、難しかったことを簡単にする方向へかなり舵を切っている点です。
配信や収録の音回りは、便利な反面、ルーティングや設定が複雑になりやすい領域です。
Wave Link 3.0 はそこに対して、「高機能だけど扱いやすい」ことを本気で目指した製品版だと言えます。
そして Wave FX という共通基盤の登場により、Elgato の新しい Wave シリーズは単なる周辺機器ではなく、クリエイターオーディオの統合プラットフォームとして見た方が自然になってきました。
これから配信環境や音声ワークフローを見直したい人にとって、Wave Link 3.0 と Wave Next は、かなり注目度の高い選択肢になりそうです。
