ゲーム配信用のPCを購入する際、スペックの高いPCがおすすめされます。
しかし、スペックの選び方を知らないままだと、おすすめされるがままに購入せざるをえません。
CPUやGPU、メモリなどのスペックを詳細まで比較すれば、自分がやりたいゲーム配信に最適なスペックのPCを購入できるので、本記事をぜひ参考にしてください。
ゲーミングPCを購入すれば配信も問題なくできると考える方は多いですが、実際には半分正解で半分間違いといえます。
ゲーミングPCはゲームプレイに最適化された構成になり、高性能GPUを搭載していますが、あくまでゲームプレイを目的とした設計です。
配信する場合は、ゲームの処理に加えて配信するためのエンコード処理と呼ばれる別の負荷がかかります。
そのため、ゲーム配信用PCを選ぶ際は、ゲーミングPCの中でも配信用途を考慮したスペック選びが必要です。
本記事で解説する、ゲーム用PCのスペックの選び方や、おすすめのPC構成を参考にして、最適な一台を選んでみてください。
CastCraftを今すぐダウンロードまずは、ゲーム配信に必要なスペックの基準をパーツごとに確認しましょう。
各パーツの役割から、必要な理由を解説します。
パーツごとの役割を把握したうえで、スペックの選び方を確認しましょう。
ゲーム配信に必要なPCスペックの基準は、次のとおりです。
| スペック名称 | 最低スペック | 推奨スペック |
|---|---|---|
| CPU | Intel Core i5 13500以上 Intel Core i5 14500以上 Intel Core Ultra 5 225F以上 AMD Ryzen 7 7700以上 AMD Ryzen 7 8700G以上 AMD Ryzen 5 9600X以上 |
Intel Core i7 14700F以上 Intel Core Ultra 7 265以上 Intel Core i9 13900T以上 Intel Core Ultra 9 285以上 AMD Ryzen 9 7900以上 AMD Ryzen 7 9800X3D以上 AMD Ryzen 9 9900X以上 |
| GPU | NVIDIA Geforce RTX3080以上 AMD Radeon RX6800XT以上 |
NVIDIA Geforce RTX3090Ti以上 NVIDIA Geforce RTX4070 SUPER以上 NVIDIA Geforce RTX5070以上 |
| メモリ | DDR5-4800 16GB(8GB×2)以上 | DDR5-5600 32GB(16GB×2)以上 DDR5-6000 64GB(32GB×2)以上 |
| ストレージ | 512GB SSD以上 | 2TB SSD以上 |
とりあえずゲーム配信に挑戦してみたい方は、最低スペックでも問題ありません。しかし、今後のことを考えて本気でゲーム配信に向き合う方には、推奨スペックのPCがおすすめです。
価格を重視する方は、CPUとGPU、メモリの3つが最低スペックを下回らないよう、注意してください。
価格を安くしたいがためにスペックを下げると、配信できないゲームソフトが出てきてしまいます。
近年のゲームタイトルは高グラフィックなものが多く、プレイするのみでもPCに大きな負荷がかかるものがほとんどです。
せっかくの高グラフィックゲームを低画質でプレイしながら配信しても、視聴者の立場からすれば楽しめません。
そのため、価格を重視する場合でもCPUやGPU、メモリは妥協せずにストレージの容量を下げましょう。
PCゲームは、高グラフィックな人気タイトルでも、200GB以内に収まります。
購入したタイトルは何度でも再インストールが可能なので、入れ替えながらプレイすれば、容量は少なくても、活動可能です。
ゲーム配信におすすめのCPUの選び方は、次のとおりです。
おすすめのCPUはあるものの、おすすめされている理由を知ることで、高額なCPU搭載のPCが必要なのかどうかを判断できます。
コストを最小限に抑えるためにも、選び方を把握しましょう。
CPUを選ぶ際、IntelとAMDとどちらのほうがよいのか悩む方も多いですが、ゲーム配信専用PCにするなら、AMD Ryzenシリーズがおすすめです。
Ryzenに使用されているZenコアは、すべてパワー型のコアになります。そのため、バックグラウンドでさまざまなツールを動かし続ける場合には不向きですが、少ないタスクでは最大の力を発揮できるCPUです。
ゲーム配信において動かすソフトは多くても10個以内になるので、8コア以上を備えるRyzenなら、問題なく動作します。
対して、在宅ワーカーの方で日常的に業務をこなす兼業PCとして購入するなら、Intelのほうがマルチタスクに特化しているので、おすすめです。
CPUを選ぶ際は、性能が高くても比較的新しい世代のCPUを選びましょう。
CPUは、単に処理速度が向上しているわけではなく、世代ごとに新しい機能の搭載や優れたセットアップにより、動作がまったく異なります。
たとえばIntelでは、第13世代で省エネに特化したコアによる分業システムが完成しており、第12世代と比較すると劇的に進化したモデルです。
Ryzenも7000シリーズからAI処理を高速化するAVX-512と呼ばれる命令セットに対応しました。
世代により新機能が追加されていたり、新機能が馴染んできたりしたモデルがあるため、現行モデルから2世代前までのCPUを選ぶことがおすすめです。
CPUは、シンプルに処理能力で選ぶこともできます。
ベンチマークテストと呼ばれ、一般的には複雑な計算処理にかかる時間で点数を付けたものです。
スコアが高いほど処理能力もが高いCPUといえ、細かい機能を比較する手間を省きたい方におすすめの選び方となります。
ただし、ベンチマークは検証サイトにより数値が異なるほか、検証環境で異なる結果にもなることから、あくまで参考値として認識してください。
大きく外れることはありませんが、CPUにこだわりたい方は、それぞれの詳細まで調べたうえで決定しましょう。
GPUはCPUと異なり、選び方は簡単です。
AMD製のものもありますが、基本的にはNVIDIA製のGeforceを選べば問題ありません。
CPUと同様に、ゲーム配信において重要なスペック項目になるので、選び方を把握して最適なものを選びましょう。
GPUといえば「NVIDIA」と認識されることも多く、NVIDIA Geforce RTXシリーズであればゲーム配信も快適にできるでしょう。
最大の理由は、NVIDIA独自の「NVENC」という配信専用機能が搭載されている点です。NVENCは、ゲームの動作を重くせずに高画質で滑らかな配信を実現します。
また、NVIDIAは、PCのグラフィックを設定できるNVIDIAコントロールパネルや、ゲームごとにグラフィックを最適化できるNVIDIA Appを提供しており、カスタマイズ性にも特化しています。
ドライバーの更新頻度も高く、新しいゲームが発売されるたびに無料でアップデート可能です。
利用者が多いことから設定動画や記事も多く、情報を入手しやすい点からもGPUはNVIDIAがおすすめといえます。
ゲーム配信において、GPUは1世代前までのモデルを選ぶことがおすすめです。
2世代前となるRTX 30シリーズでも配信は可能ですが、将来性を考慮すると1世代前のRTX 40シリーズ、または現行モデルのRTX 50シリーズが推奨されます。
NVIDIAのGPUは、世代が変わるごとに処理能力も進化しており、より高グラフィックなゲームに対応可能です。
細かい描写や動きを出力できれば、配信クオリティの向上にもつながり、視聴者を惹きつける映像を提供できます。
GPUは処理能力で性能を測ることが一般的なため、ベンチマークスコアを参考にして選びましょう。
同シリーズ内で番号が1つ上がると処理能力がどう変化するのかが数値化されているので、性能がわかりやすくなります。
高グラフィックをヌルヌルと動かせる快適な映像を楽しみたい方には、スコアが40,000以上のものがおすすめです。
ただし、GPUのメモリ容量には注意しましょう。VRAMと呼ばれており、4GBや8GB、12GBや16GBなどが搭載されています。
たとえば、RTX5060と5060Tiを比較すると、一見同じ品番ですが、メモリが8GBと16GBで2倍の差です。
ベンチマークスコアでは大きな差はないものの、高グラフィックのゲームを快適に動作できるのは、VRAM容量が大きいほうになります。
手頃な価格のゲーミングPCは、メモリ容量16GBが多くあるものの、ゲーム配信の場合には32GB以上のPCを購入しましょう。
ここでは、32GB以上のメモリを推奨する理由や、メモリのスペックについて解説します。
ゲーム配信は、ゲームに加えて配信ソフトやコメビュを起動するので、16GBではメモリ不足です。
とくに高グラフィックのゲームを配信する場合は、ゲームや配信が落ちることも多く、ゲーム画質の設定を低くしなければなりません。
過去に筆者が配信した際は、Intel Core i7 第11世代のRTX 3060、メモリ16GBにて、配信できないタイトルが実際にありました。
参考例として、APEX LEGENDSやGhorstwire:Tokyoは、ゲーム内画質を低くすれば問題ありませんでしたが、FORSPOKENは、配信が落ちてしまったため、注意しましょう。
8GB×2枚の仕様だったため、16GB×2枚に変更して合計32GBメモリにしたところ改善されたため、メモリ不足による配信落ちです。
ゲーム配信用PCを選ぶ際は、32GB以上のメモリにすると、処理落ちやカクつきを気にせず配信できます。
販売されているPCは基本的に問題ありませんが、メモリを選ぶ際はデュアルチャネルのモデルを選びましょう。
デュアルチャネルは、メモリが2枚挿しで構成されている状態です。16GBメモリなら8GB×2枚、32GBメモリは16GB×2枚のメモリが搭載されています。
メモリは1枚で32GBを運用するよりも、16GB×2枚で運用したほうが円滑に処理できるので、必ずデュアルチャネルメモリを選びましょう。
ただし、多ければ多いほどよいわけではなく、最大4枚までメモリを挿せるとしても一般的なゲーミングPCのマザーボードとCPUでは処理が遅くなります。
むしろ処理速度が低下してしまうので、メモリは2枚挿しのものを選ぶことがおすすめです。
予算に応じた最適なPC構成を選択すれば、無駄なコストを抑えながら快適な配信環境を構築できます。
予算別のおすすめゲーム配信用PCは、次のとおりです。
予算に合うPC本体を例に挙げて解説するので、参考にしてください。
15万~20万円で購入できるPCは、初めてゲーム配信に挑戦してみたいと考えている方におすすめです。
また、とにかく配信をはじめることを第一に考えている方にも、費用負担を最小限に抑えられることから、推奨されます。
15万~20万円で購入できるPCの構成例は、次のとおりです。
ゲーム配信においては最低スペックとなるので、ゲームタイトルは選ぶ必要があるでしょう。
高画質でヌルヌルとした動きの美麗な配信を考えている方は、予算を上げてミドルスペック以上のPCを検討してみてください。
20万~30万円で購入できるPCは、ゲーム配信用として快適に動作するスペックが多くあります。
ゲーム配信用PCを検討する際に、最もオーソドックスな価格帯です。PCの構成例は次のようなものが挙げられます。
配信の品質を確保しながらも価格を抑えたい方におすすめの構成です。
初心者向けのPCスペックに比べて、ストレージ以外がすべてアップグレードされているので、快適にゲーム配信できるスペックといえます。
超高画質なゲームを処理しながらはスムーズに配信できない可能性もありますが、多くの美麗なグラフィックが人気のタイトルを配信できるでしょう。
配信者として本格的な活動を視野に入れている方におすすめです。
30万円以上の予算がある方は、スペックが決められている量販モデルではなく、BTOメーカーでスペックを改造して購入を検討しましょう。
構成例として、次のようなハイスペックPCも購入可能です。
30万円以上のゲーミングPCなら、ドスパラやマウスコンピュータのサイトで、カスタマイズしながら購入を検討してみましょう。
メモリを64GBに、ストレージを2TBに増やせるほか、CPUクーラーの冷却方式、LEDの搭載有無などを自由に決められます。
また、BTOメーカーなら、モニターやキーボードなどもセットで購入できるので、あとから自分で購入する手間も省けるでしょう。
有名配信者やVTuberが使用するPCスペックを参考にすれば、プロレベルの配信環境に必要な性能基準を把握できます。
ただし、トップクラスの配信者は視聴者に最高品質の映像を届けるため、妥協のないハイエンド構成です。
あくまで参考にする程度に留め、同じスペック要件を満たさなくても問題ありません。
有名配信者やVTuberは、配信中も一切処理落ちしない環境を維持するため、CPUに最上位クラスのモデルを採用する傾向があります。
SHAKA氏は、2023年1月時点でAMD Ryzen 9 7950Xを使用していたことが確認されており、葛葉氏は2022年11月時点でIntel Core i9-13900K BOXを使用しているとXで報告されていました。
3年ほど前の情報になりますが、どちらも現行モデルに匹敵する高スペックCPUです。
有名配信者が使用しているGPUは、ベンチマークスコアが30,000以上のものが平均的です。
ゲーム実況者のみではなく、VTuberも含まれていることから平均値が下がっていると考えられます。
ゲームを中心に配信している方の場合を例に挙げると、SHAKA氏や宝鐘マリン氏、シェリン・バーガンディ氏など、多くの方が2023年時点でNVIDIA Geforce RTX4090を使用しているとのことです。
現在のベンチマークスコアは、49,000点を超えているGPUとなるため、CPUと同じくハイスペックPCを使用しているといえます。
メモリについては、明らかにしていない配信者が多いものの、SHAKA氏や夏色まつり氏、叶氏などは、全員64GBメモリを使用しています。
一方葛葉氏は、32GBメモリと記載があるため、32GB以上の構成であれば、スペックは十分問題ないといえるでしょう。
BTOメーカーで購入したPCであれば、メモリはあとから交換できるタイプが多いので、ゲーム配信をはじめてから不足に感じることがあれば、購入して増設してみてください。
ゲーム配信用PCを購入する際は、スペック選び以外にも注意点があります。
PC本体の性能だけに注目して選ぶと、追加コストや運用面でのトラブルに直面する可能性があるため、ここで確認しましょう。
注意点を事前に理解しておけば、購入後の後悔を避けられるでしょう。
PC本体の購入以外にも、ゲーム配信をはじめるためには機材を揃える必要があるため、別途費用がかかります。
具体的には、次のものが必要です。
ひとまずゲーム配信をはじめるために必要最低限のものを紹介しました。
ほかにも、Switch2やPS5の配信をはじめる場合には、キャプチャーボードが必要なほか、手元配信や顔出し配信、VTuberになるならWebカメラの購入が必要です。
こだわればどれも数万円するものまで発売されているので、予算に応じて購入しましょう。
ハイスペックPCを安く購入する方法として、自作PCが挙げられます。
しかし、自作PCは専門的な知識がなければ組み立てられないので、初めてPCを購入する方には不向きです。
組み立て方法はYouTubeなどで確認できますが、必ずしも同じものを購入するわけではないため、避けましょう。
安いPCを探すなら、Amazonのような通販サイトがおすすめですが、無名のメーカーも多数存在しており、サポート面に不安があります。
予算外であれば仕方がないものの、できる限りドスパラやマウスコンピュータなど、信頼できるメーカーでの購入がおすすめです。
PCを購入する際は、必ず延長保証に加入しましょう。
家電量販店なら数千円、BTOメーカーなら購入費の10~20%で加入できます。
メーカー保証は、1年間のみです。1年以内に故障するケースは珍しく、不具合が起きはじめるのは、3年以降です。
延長保証は5年保証が多いので、加入しておくと修理費用が格段に安くなります。
ドスパラを例に挙げると、月額980円で加入できる保証サービスがあるので、費用負担を抑えつつ、十分なサポートを受けられます。
今回は、ゲーム配信を目的としたPCスペックについて解説しました。
通常のゲーミングPCの選び方よりも、高いスペックを求めることが最適解です。
とくにCPUやGPU、メモリは妥協せずに選ぶことで、後悔なくゲーム配信をはじめられます。
ゲーミングPCなら配信できるとする情報も散見されますが、惑わされずに本当に必要なスペック要件を満たすPCを購入してみてください。
これからゲーム配信活動をはじめるにあたって、処理落ちやカクつきなどに悩まされないためにも、本記事で紹介したスペック要件を参考に、最適なPCを購入しましょう。
